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機械設計・製図

機械設計者の「安全を見る」と原価意識

2019年04月09日

いつも原価意識を持って設計してますか?

こんにちは、ものプロのタカハラです。

先日、あるものづくり企業が集まる会合に出席しました。

そこで機械部品製造業の方が、元請けから来る製作図にやたら公差があって困る(しかも熱処理が必要な部品で熱処理後の公差!)とのこと。

そこに同席していた他社の設計技術者がそれを聞いて「設計者は安全を見るからね」と、しょうがないと言わんばかりにおっしゃっていました。

あ~またでたよ、設計者の「安全を見る」。

機械設計において、「安全を見る」は確かに大事です。

ただし、必要以上の安全は過剰品質(オーバークオリティ)のムダ以外の何物でもありません。

過剰品質は高原価となり、利益を圧迫します。

機械設計者は「原価意識が低い」と感じることが往々にしてあります。

例えば容器の板厚において、強度計算の結果、最適な板厚が10mmと出たとします。

鋼板の規格では板厚10mmはなく、9mmか12mmとなり、このどちらかを選択することになるのですが、多くの設計者はいわゆる「安全を見て」12mmを選択します。

でもちょっと待ってください。

この計算には多くの場合、すでに「安全率」が組み込まれているはずです。

しかもその安全率はだいたい4~5はとられています。

安全率を4~5見た上に、計算結果より2割増の板厚を使うのはあきらかに過剰品質でしょう。

そして装置全体をすべてこのような設計で仕様鋼材を決めたとすると材料代だけでどれだけのコスト増となるか見ていきます。

仮に装置全体で使う鋼材の総重量が10tonとします。

12mmの鋼板は9mmの鋼板に対して約30%増

10ton×30%=3tonの重量増加

SS400のキロ当たり価格を80円として

80円×3,000kg=240,000円のコスト増となります。

この価格を聞いてどう感じますか?

くれぐれも設計者は品質だけにとらわれるのではなく、常にコストのことも考えて仕事に取り組みたいものです。

最初の話においても、その公差が焼入れ後、実現可能な公差かどうか、その部品の仕様をクリアするため本当に必要かどうかを検証する必要があるでしょう。

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